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メールコミュニケーションはPDSサイクルを回そう【Planフェーズ編】

メールコミュニケーションはPDSサイクルを回そう【Planフェーズ編】

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メール配信というものはシンプルなもので、配信先リストと配信コンテンツ、それに件名やFromなどの情報があれば、後はメール配信システムを用いて配信するだけです。
しかし、単純にメール配信システムを導入して、メールを配信するだけでは、大きな効果を得ることは難しいでしょう。効果があったのか分からないかもしれません。

効果が出ているのか確認するためには、メールコミュニケーションのPDS(Plan-Do-See)サイクルを回すことが重要です。

メールコミュニケーションのPDSサイクルとは?

メールコミュニケーションのPDSサイクルは、画像のように以下に分けて考えられています。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • See(評価)

目的達成のためにPlan(計画)を立案し、Do(実行)に移し、See(評価)を繰り返すことで業務を行うフレームワークになります。

Plan(計画)、Do(実行)、See(評価)で、どのようなことを行うのかについてここから説明していきます。

Plan(計画)フェーズで行うこと

まずPlanフェーズでは、「現状分析」「コミュニケーション戦略立案(コミュニケーションプラン)」「クリエイティブ企画」「システム設定」「オペレーション設計」の5つを行っていきます。
どの項目も重要ですが、目的を達成するためには現状を詳しく把握する「現状分析」は特に念入りに行うことが重要です。 Planフェーズついては、この記事で詳しく説明していきます。

Do(実行)フェーズで行うこと

Doフェーズでは、「クリエイティブ制作(Creative Work)」「システム運用(System Operation)」「配信オペレーション(Delivery Operation)」の3つを行います。
いくら精密なPlanを立案しても、ユーザーの手元に届くメールのクオリティが低ければPlanそのものが台無しになってしまいます。

Planを達成するために、どのようなクリエイティブでシステムや配信方法はどうするのか選定し実際に行っていくのがこのDoフェーズになります。
魅力的なメールを制作し、外部環境変化への対応や安全なシステムを使って配信オペレーションを行うDoフェーズは、Planフェーズに劣らず重要だと言えます。

See(評価)フェーズで行うこと

Seeフェーズは、配信したメールに対して「効果検証」を行い戦略や企画に反映するフェーズになります。

結果により、戦略のリプランニングを行う可能性もあるため細かい分析が求められます。
配信ごとの開封率やクリック率のみを確認して終わってしまわないように気をつけましょう。

配信ごとの開封率やクリック率も重要な指標であり気になる指標であることは間違いありませんが、それだけでは効果的なメールコミュニケーションを実現するために見るべき指標としては不足しています。

「読者の心理」を知るためのアンケート調査や「最終目的を意識した検証の必要性」などデータをまとめて分析することで、個別のメールへの反応だけではなく施策全体の評価や見込客・顧客のレベルアップ状況の評価をしっかり行えます。
このように細かく分析することで、次に行うべきアクションが明確になり目的を達成する可能性も高くなることでしょう。

ここまで簡単にPlan(計画)、Do(実行)、See(評価)で、どのようなことを行うのかについて説明しました。
このPDSサイクルのPlan(計画)部分について今回は深堀して紹介していきます。

PDSサイクル「Planフェーズ」は5つに分けられている

PDSサイクルの「Planフェーズ」は、この5つで構成されています。

  • 現状分析(As-is Analysis)
  • コミュニケーション戦略立案(Communication Planning)
  • クリエイティブ企画(Creative Planning)
  • システム設定(System Setting)
  • オペレーション設計(Operation Design)

Planフェーズでは、まず「現状分析」と「コミュニケーション戦略立案」というメールコミュニケーションの全体像を考える段階になります。
後半は、前半で立案したコミュニケーション戦略を受けて、Doフェーズとの橋渡しをする段階である「クリエイティブ企画」「システム設定」「オペレーション設計」を行っていきます。

現状分析(As-is Analysis)

ここでは、現状のメールコミュニケーションの状況を把握して課題と可能性を明らかにしていきます。
目的に対して、何が課題なのか詳しく見極めるために細かく分析を行うことが大切です。

我々のような第三者が加わる場合には、ビジネスレベルでの分析とメールコミュニケーションレベルでの分析を行います。

ビジネスレベルでの分析では、クライアント企業のビジネスそのものの理解と3C分析「顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competitor)」をまずは行います。
間接販売が重要なビジネスの場合には、3C分析に加えてチャネルごとの特徴を分析。
製品・サービスが複数ある場合には、各製品・サービスごとの分析など細かい分析からビジネスレベルで課題を明確にしていきます。

現状を把握ができたら、次はメールコミュニケーションのレベルで3C分析を再度行います。

  • 顧客や見込客にアンケートを取り分析
  • 競合がどのようなメールコミュニケーションを行っているか
  • インターネット上でどのようなコミュニケーションを行っているか
  • 競合以外にも、自社と同じような層を顧客としている他業界の先進企業のメールコミュニケーション分析

など細かく分析を行うことで課題の発見を行っていきます。
課題が発見出来たら、次に戦略を立案に移ります。

コミュニケーション戦略立案(Communication Planning)

コミュニケーション戦略立案では、下記3つを行っていきます。

  • コミュニケーションの目的の明確化
  • コミュニケーションプログラムの策定
  • 効果検証指標と目標値の設定

どのようなことを行っていくのか、「コミュニケーションの目的の明確化」から順に説明していきます。

1.コミュニケーションの目的の明確化

まず、なぜコミュニケーションを行うのか目的を明確にしていきます。

例えば、同じ化粧品業界の企業でもコミュニケーションの目的は様々です。
ECを行っていないメーカーが、「ウェブサイトとの連携も含めた情報伝達が重要だ」と考える一方で、ECを行っている企業では「実際に商品を売ることを重要視している」というようなケースもあります。

また、BtoB事業を行う企業なら最終的には「問い合わせ数・資料請求数・セミナー参加数のアップ」がメインの目的になる場合も多いでしょう。
この目的の違いにより、コミュニケーションプログラムも効果検証指標も目標も大きく変わってきます。
なので、目的を明確化し今後目的達成に向けた評価指標を選定していきます。

2.コミュニケーションプログラムの策定

ここでちょっとテレビ番組のことを考えてみてください。
テレビ番組と一言で言っても、ニュース、ドキュメンタリー、映画、アニメ、クイズ、お笑いなど、色々と種類があります。
そしてそれぞれの番組ごとに、どのような人を狙って、どのような内容のものを、どのような時間帯に放映するかを決めていると思います。

メールコミュニケーションもこれと似ていて、どのような番組(プログラム)にするかを考える必要があります。

メールコミュニケーションプログラムの策定では、具体的にプログラムごとにこのようなことを策定していきます。

  • 何のために (目的)
  • 誰に対して (ターゲット)
  • どのような内容を (コンテンツ)
  • どのような方法で (チャネル)
  • どのような時に (タイミング・頻度)

このように、配信内容を明確にします。

上記の要素の1セットを「コミュニケーションプログラム」と名付けていますが、複数のプログラムを並列で展開することもよくあります。
テレビと同じように一つの放送局で、ニュース、ドキュメンタリー、映画、アニメ、クイズ、お笑いなど様々なテレビ番組を放映しているのと似ているかもしれません。

3.効果検証指標と目標値の設定

実際に効果検証を行うのは、See(検証)フェーズですが、どの指標を検証するのか設定はPlan(企画)フェーズで行っておくことをおすすめします。
効果検証に必要なデータが取れていなかったというようなことが無いように、システム要件定義やオペレーション設計に盛り込む必要があるからです。

効果検証指標を決めたら、それぞれの指標の数値目標も合わせて設定しておきましょう。

このようにコミュニケーション戦略立案では、「目的の明確化」「プログラムの策定」「効果検証指標と目標値の設定」を行います。

次に、ここまでのメールコミュニケーション設計を元に、配信するメールを具体化する「クリエイティブ企画」へ進んでいきます。

クリエイティブ企画(Creative Planning)

クリエイティブ企画では、メールコミュニケーションを継続していくために長期的な視点で企画を行い、半年から1年分のコンテンツ案を作成します。

1年分のコンテンツ案作成は、大変そうに思うかもしれませんが「タイミング」と「ターゲット」から考えるとスムーズに作成していけることが多いようです。

例えば、化粧品メーカーの場合ですと年間のイベントカレンダー(紫外線が強く日焼け対策をする季節、肌が乾燥しやすく保湿が重要になる季節など)を作り、そのタイミングでどのようなコンテンツを送るのが効果的かを考えます。

ターゲットは、読者のほとんどは女性ということになると思いますので、占いのコーナー、化粧品から繋がる美容健康に関連するコーナーを用意して紹介するなど考えられそうです。
予算があれば、著名な料理研究家やヨガのインストラクターに記事を書いてもらうなども企画としてはいいでしょう。

一人一人に届くメールだからこそ表現しやすい「親しみやすさ(編集者が個人として登場し個人の意見などを書くなど)」の演出方法も模索してみるといいと思います。
HTMLメールの場合だと写真やイラストを活用することで親しみやすいメールにすることが出来ますよ。

さらに、「インタラクティブ性(ミニアンケートやクイズなど)」を活かしたコンテンツも取り入れることで、多くのコンテンツ案が作成出来ることでしょう。クリックカウントを取得する機能を用いて読者にアンケートを行い、その結果を次号のメールで紹介するというような活用方法が考えられます。

このようにして考えたコンテンツ案をコンテンツ展開プランとしてまとめます。
クリエイティブ企画の作成が完了したら、次にどのように配信を行うかシステム側の選定に入っていきます。

システム設定(System Setting)

メールコミュニケーションを行うには、当然メール配信システムが必要になります。メール配信システムは大きく分けて「導入型」と「ASP/SaaS型」があります。

「オンプレミス型」のメリットとしては、その企業の要件に合わせてカスタマイズできること、他の社内システムと連携しやすいことが挙げられます。 一方で「ASP/SaaS型」のメリットは、導入までの時間とコストが抑えられること、運用を事業者側に任せられることです。

導入時には、「機能・使いやすさ・安全性・安定性など」が選定時に確認しておくポイントになります。

機能では、メール配信機能だけでなくリスト管理・レポーティング・効果検証などの機能も含めて求めている要件を満たしているかどうか調査し検証を行います。

使いやすさについては、実際のデモンストレーションを見て評価したり、マニュアルやサポートの充実度を確認したりすることが大切です。
さらに、機能評価で「○」となっている項目についても、実際には設定作業が複雑な場合もあります。このあたりもきちんと確認しておきましょう。

安全性については、情報セキュリティに関するチェックリストを用意されている企業も多いと思いますので、社内の情報システム部門に確認をして進める必要出てきます。
エラーやアラートなどにより、オペレーション上のミスが起こりにくい仕組みが組み込まれているかの確認も重要です。

安定性は、SLAに記載されている最低基準を確認する他、実績としてどの程度のパフォーマンスを出せているかヒアリングを行うことが大切です。
すでにそのASPを導入している企業の事例なども参考になります。

上記のポイントに基づいてシステムを選定した上で、データベース項目の設定やユーザーインターフェイスの設計を行います。
すでに配信先のデータがある場合には、データの整理や移行。他システムと連動させる場合にはその連携方法の確定やシステムインターフェイスの設計・開発・テストを行います。

オペレーション設計(Operation Design)

オペレーション設計では、毎回のメール制作から配信までのフローを整備しておき、配信ミスや配信の遅延などが発生しないようにあらかじめ考えておきましょう。

具体的には、

  • 社内の複数部署間の(アウトソーサーがいる場合にはアウトソーシング先も含めた)業務フローを明確に定義すること
  • 余裕を持った工程を組み、進行を管理するためのガントチャート(工程管理表)を用意しておくこと
  • 配信設定担当とチェック担当を分け、作業工程を二重化しておくこと
  • 配信設定シートや配信チェックシートなどを準備し、一つ一つ確認して作業を進めることが出来るようにしておくこと

などにより、実際に運用を行う前にツールを揃えておくことが重要です。

アウトソーシング先との業務委託契約や、プライバシーマークなどを取得しているかどうかのチェックなど、法務や情報システム部門との連携も必須です。

以上のように、メールコミュニケーションのPDSサイクルを行う上でPlan(計画)をきちんと行っておくことが、次のDoフェーズで業務を円滑に進めるためやメールコミュニケーションの効果を最大化するためには必要となります。

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