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ソーシャルマーケティングとは?取り組むメリットと注意点をご紹介。

ソーシャルマーケティングとは?取り組むメリットと注意点をご紹介。

ソーシャルマーケティングとは?取り組むメリットと注意点をご紹介。

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温室効果ガスによる温暖化や経済格差の拡大など、世界は国単位で解決できないさまざまな問題を抱えています。このような問題を解決するため、さまざまな企業・組織が用いている考え方がソーシャルマーケティングです。

1980年代に提唱されたソーシャルマーケティングは、今や大企業だけでなく中小企業にもメリットがあるといわれます。この記事では、ソーシャルマーケティングに取り組むために知っておきたい、概要やメリットについて解説します。

ソーシャルマーケティングとは?

ソーシャルマーケティングとは、社会にあるさまざまな課題を従来のマーケティングの手法を使って解決し、個人や企業ではなく社会全体の利便性、利益の向上を目指す考え方や行動指針を表す概念をいいます。

1960年代、アメリカで始まった消費者運動をきっかけとし、1980年代に経済学者フィリップ・コトラーが提唱しました。

一般的なマーケティングとは、顧客のニーズを見極め、ニーズに合った商品やサービスを提供し売上や利益を追求することを得意とする「顧客志向」の考え方といえます。このマーケティングの手法を、顧客だけでなく社会全体の利益の追求に利用しようとする概念がソーシャルマーケティングです。

いわば「社会公共志向」のマーケティングといえるソーシャルマーケティングは、もともと社会全体の利益向上を目的とする政府や地方自治体、行政機関、学校、病院といった非営利組織においても、サービスの質の向上や効率化などに効果が期待されています。

ソーシャルマーケティングは企業と顧客、そして社会全体という三者が利益を得ることを目指す概念であり、活動の指針なのです。

ソーシャルマーケティングが注目されている背景

社会には多くの課題が山積みです。しかもそれは年々複雑化し、急速に拡大するため本来解決を担うはずの政府や行政機関だけでは解決できない問題も多くでてきました。

社会問題の原因を考えると、少なくともその一端は企業の活動だといえるでしょう。例えば、企業が製品を作る過程で二酸化炭素が排出され、地球温暖化の原因となります。またタバコやアルコールを製造、販売する企業は肺がんやアルコール依存症というそれぞれ社会問題の原因を生み出しながら利益を上げているといえます。

このような見方から、企業は利益の少なくとも一部を、社会問題の解決に費やすべきという考え方が生まれ、社会に広まっていきました。

社会問題の解決と企業の活動が両立できれば、企業と消費者そして社会全体のすべてに利益をもたらすことができます。これをより効率よく、効果的に実施するための概念がソーシャルマーケティングです。

今やソーシャルマーケティングは、企業にとって他社との差別化を図り、企業価値を上げる戦略上のテーマとして重視されるようになりました。

ソーシャルマーケティングとCSRの関係とは?

企業の社会貢献活動といえば、すぐに思い浮かぶのがCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会における責任)でしょう。

企業には、社会をよりよくするために何らかの役割を担う必要があるという考え方で、事業を存続させ納税することも含まれます。

CSRは顧客や株主、従業員などのステークホルダー(利害関係者)との交流を通じて、企業は社会の一員として責任を持って判断し活動すべきという概念です。

その責任の範囲は広く、法令の遵守はもちろん、商品・サービスの安全性や廃棄物の適切な処理、リサイクルなどの環境への配慮、人材育成や労働環境の改善などが含まれます。

ソーシャルマーケティングは、社会貢献を通じて社会の問題に注目させることも目的の1つです。社会に広くメッセージを発信し、問題を意識づけることで、社会全体をよりよくするよう促します。そう考えるとソーシャルマーケティングは、社会貢献を促すCSRの一部といえるでしょう。

ソーシャルマーケティングに取り組むメリット

社会における独自性が得られ競合との差別化ができる

同じような利便性の商品・サービスなら、どれを選んでも大差ないと感じる消費者も少なくありません。しかし、それらの商品・サービスに沿った社会貢献の事実があれば、利用することで社会貢献に間接的に取り組んだような充実感が得られるでしょう。少なくとも、競合他社とは差別化できます。

また、これまで誰もできなかった社会貢献なら、社会における独自性を前面に打ち出すことになるでしょう。これまで自社の商品・サービスに興味がなかった消費者が、利用するきっかけになるかもしれません。

従業員のロイヤリティの向上

ソーシャルマーケティングに取り組むことで、従業員は自分たちが働くこと自体が社会に評価されていると感じ、充実感を得られるでしょう。所属している企業が社会から評価されることは、従業員のロイヤリティの向上にもつながります。

従業員のロイヤリティの向上は業務のパフォーマンス向上につながり、売上や利益といった業績にもよい影響を与えるでしょう。

優れた人材の確保

ソーシャルマーケティングによる企業イメージの向上は、採用においてもプラスに働きます。わが国は少子高齢化によって、だんだんと若い世代の働き手を確保することが難しくなっているのが現状です。

人材確保が難しい中「この企業で働きたい」と感じてもらえれば、優秀な人材の確保が期待できます。ソーシャルマーケティングは、人材という面でも将来の業績を左右する可能性があるのです。

社会の信頼を得ることで資金調達がしやすくなる

近年、融資の中でも環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)が重視され、優れた経営がなされている企業への融資「ESG投融資」が増えています。ソーシャルマーケティングに成功することは、社会の信頼を得ることです。

そうすると企業には社会的な影響力が蓄積され、その社会的意義に注目する投資家に支持されれば、資金調達をしやすくなるでしょう。

ソーシャルマーケティングの注意点

企業活動で得られる利益とのバランスを取る

ソーシャルマーケティングによる活動の効果は、基本的に即効性がなく、しかも確実とはいえません。そのため将来得られる利益をあてにしすぎると予算が尽きるなどして活動が長続きせず、頓挫して継続できなくなる可能性があります。

活動は本業の企業活動で無理のない予算や時間の範囲に収め、バランスを取りながら上手に取り組むことが大切です。

消費者に受け入れられるストーリーを提示する

ソーシャルマーケティングによる活動は、分野選びが重要になります。どのような活動分野を選ぶにせよ、企業イメージに合致し、消費者に自然に受け入れられるストーリーであること、そしてどう伝え広めるかが重要です。

少しでも多くの共感を得られるよう、その分野で活動する理由や、現在の姿と将来のビジョンとの関連性といった活動全体の姿をしっかりと設計する必要があります。

継続して活動できることが重要

即効性がないからこそ、ソーシャルマーケティングに基づく活動は継続することが大切です。継続的に活動することで、ブランドイメージも徐々に定着します。できる範囲の規模でよいので、継続して活動できるよう内容を定めるとよいでしょう。

徐々に認知されていけば、メディアに取り上げられ協賛してくれる企業が現れる可能性もあります。社外にうまく認知されるまでには、一定の時間がかかるものです。継続できるような内容でスタートできるよう、十分に検討しましょう。

ソーシャルマーケティングの成功事例

サントリー株式会社「人類外採用」

飲料メーカーのサントリーは「水と生きる」というコーポレートメッセージの下、水に関するさまざまな活動や研究を行っていることで有名です。

飲料作りに欠かせない豊かな水のため、大学などと連携して全国に合計9,000ヘクタールという広大な森づくりを行う「天然水の森」活動や、従来品より消費電力を約30%カットできる自動販売機の導入、環境に配慮したパッケージの採用など活動は多岐にわたります。

中でも特異なのは、天然水の森の動物や植物たちを社員と見立てた「人類外採用」キャンペーンでしょう。森や社会を彼らの視点で紹介することで、ソーシャルマーケティングによる活動はより注目され、大きな反響を呼んでいます。

ユニクロ独自の循環型モデル「RE.UNIQLO」

ユニクロは2020年、不要な商品を店頭で回収し、新たな商品に作り替えることを目的としたプロジェクト「RE.UNIQLO」をスタートしました。

衣料品の廃棄が環境に与える影響は少なくなく、ユニクロはこのプロジェクトを通じて廃棄物や二酸化炭素排出量の削減を目指しています。

RE.UNIQLOは、環境問題に心を痛める顧客にとって他社とは異なるメリットが感じられるでしょう。多くのファッションブランドの中で、差別化に成功した事例といえます。

スバルの目指す「スバル車による死亡交通事故ゼロ」

自動車は、人や物を運ぶ非常に便利な機械です。しかし、それはまた人には制御しづらい巨大な力でもあり、ときに人や財産を傷つけ破壊しかねない恐ろしい存在でもあります。

そこでスバルは、歩行者や自転車に衝突する死亡事故をゼロにすることを目標としました。

自動車の安全性能を比較評価する自動車アセスメントにおいて1位を獲得するなど、スバルは新たな安全性能の開発に意欲的で、実際にスバル車100万台あたり死亡事故・重傷事故件数は2010年の221件から2019年には105件と半減させることに成功しています。

交通事故は誰もが避けたい災難ですが、ゼロを目指していることと実際に減らすことに成功している事実は、普段から問題意識を持つ顧客が大いに賛同することでしょう。決して安くない「自動車」の売上と顧客、社会全体のすべてをWin-Winに導く優れた活動といえます。

マーケティングのご相談はエンバーポイントへ

ソーシャルマーケティングを含めマーケティングは、取り組む企業や業種、場所、環境やタイミングなどさまざまな要素が絡み合うため、狙い通りの効果を上げ、目的を達成するのは簡単ではありません。

エンバーポイント株式会社は、国内トップシェアのメール配信システムをはじめ、業界最安水準のSMS配信システム、安価にカスタマイズできるアプリ開発サービスなどを通じて、お客様のビジネスを20年以上にわたってサポートしています。

マーケティングに対する不安や疑問は、経験豊富な当社へぜひご相談ください。

まとめ

ソーシャルマーケティングは、企業のブランド力や企業イメージを強化してくれる概念です。適切なソーシャルマーケティングは、競合との差別化に役立つだけでなく従業員のロイヤリティとモチベーションを向上させ、業績アップに導いてくれます。

ただそのための活動は、本業と強く結びつく分野に限定し、予算や時間と適切なバランスを保ちながら継続していくことが重要です。

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